コラム
社会保険の「月額8.8万円の壁」がなくなります
2026年10月16日
これまでパートやアルバイトのスタッフが働く上で、多くの方が意識されてきた「月額8.8万円(年収約106万円)の壁」。
先日国会で成立した新しい法律により、この「月額8.8万円」という金額の基準が、今後は完全になくなることになりました。
「うちは扶養内に抑えているから大丈夫」と思っていた事業所にとっても、これからは新しい視点での労務管理が必要になってきます。
今回は、この法改正の背景や、事業主の皆様が今から準備できるポイントをお伝えします。
<なぜ「8.8万円の壁」はなくなるのか?>
近年、地域別最低賃金の上り幅が大きく、今年の最低賃金は全国平均で1,177円となりました。
最も低い地域でも1,086円となっております。
週20時間以上働くと、全ての都道府県において、月額給与が自動的に8.8万円を超えてしまうことになりました。
また、これまでは「月8.8万円を超えそうだから、これ以上シフトに入れない」という、いわゆる“働き控え”が、
多くの現場で人手不足の一因にもなりました。
金額の基準をなくすことで、スタッフが「金額を気にせず、もっと自由にシフトに入れるようにしよう」という狙いもあります。
※最低賃金に関しては以下のコラムもご確認ください。
https://kz-partners.com/sharoushi/column/news/news/2026年最低賃金が決まりました/
<法改正のポイント:これからは「働く時間」が主な基準に>
10月からの社会保険の加入要件は以下の通りです。
①被保険者の人数が51人以上の事業所であること
②週の所定労働時間が20時間以上であること
③学生でないこと
社会保険料の負担が増えるとネガティブなイメージもありますが、厚生年金に加入することで将来の年金に上乗せができる、
健康保険に加入することで、病気・けが・出産等で働けない場合の所得補償ができるなどのメリットもあります。
<事業主として注意すること>
社会保険制度の変更によってスタッフが不安にならず、安心して働き続けられるように、
以下の2つのステップを少しずつ進めていきましょう。
① 現在の「働く時間」の確認
今働いているパート・アルバイトの方が、「週に何時間」の契約になっているかを改めてリストアップしてみましょう。
② スタッフ一人ひとりとの丁寧な話し合い
配偶者の扶養の範囲で働いている方は、「これからどうなるんだろう」と心配されているかもしれません。
「時間を抑えて完全に扶養内で働くか」、それとも「社会保険に加入して、時間を気にせずもっとたくさん稼ぐか」、
スタッフの希望を丁寧に聞いて、これからの働き方を一緒に考えていくことが大切です。
「8.8万円の壁」の撤廃は、最低賃金引き上げの流れを踏まえると、避けては通れない変化です。
しかし、「スタッフがより生き生きと、長く働いてくれるチャンス」に変えることもできます。
「具体的に誰が対象になるのか一緒に確認してほしい」「スタッフへの上手な説明の仕方をアドバイスしてほしい」
など、少しでも気になることがありましたら、いつでもお気軽に弊社までご相談ください。
経営者とスタッフの皆様の双方が安心して働ける環境づくりを、社労士として温かくサポートいたします。