コラム

年度更新、始まってます!

「年度更新」とは、新年度の労働保険料の概算保険料を納付するための
申告・納付と前年度の労働保険料を精算するための確定保険料の
申告・納付する手続のことをいいます。

実際に賃金台帳から数字を抽出する際、多くの担当者様が
「この手当って、労働保険の対象に含めるんだっけ……?」と頭を悩ませます。

労働保険料は、会社が支払った「賃金総額」に保険料率をかけて計算します。
もし対象外の報酬まで含めて計算してしまうと、会社が本来支払う必要のない
保険料を余分に納めることになってしまいます

そこで今回は、年度更新の集計で特に間違えやすい
「労働保険の対象から除外してよい(含めてはいけない)報酬」の境界線を、
社労士の視点から分かりやすく解説します。

① 役員報酬(取締役等の報酬)

役員は「労働者」ではないため、役員報酬は労働保険の対象外です。

Point!「兼務役員」の処理

取締役営業部長などの「役員兼務役員」がいる場合、役員としての報酬部分は除外し、
労働者(従業員)としての給与(役職手当や営業手当など)部分のみを抽出して
集計する必要があります。

② 実費弁償とされる費用(出張旅費・赴任旅費など)

業務を遂行するために実際に発生した経費の精算は、労働の対価ではないため除外します。

Point! 通勤手当の処理

定額で支給される「通勤手当」は実費弁償ではなく「賃金」扱いとなるため、
こちらは必ず含めてください。

③ 恩恵的に支給されるお祝い金・見舞金(結婚祝金・災害見舞金など)

会社の慶弔規定などに基づいて、恩恵的・特例的に支給されるお金は除外できます。

例: 結婚祝金、死亡弔慰金、病気や災害の見舞金など

④ 退職金(退職手当)

原則として、退職時に支払われる退職金は労働の対償とはみなされず、対象外となります。

Point! 毎月の給与に「退職金前払い手当」などの名称で上乗せして支払われている場合は、
通常の賃金とみなされて対象に含める必要があるため区別が必要です。

⑤ 福利厚生にあたる費用(現物支給の制服や作業服など)

会社が業務のために現物支給、あるいは貸与する制服や事務用品、作業服などの費用は
除外します。


もし対象外の報酬を誤って算入したまま申告してしまうと、前述の通り「保険料の過払い」
発生します。
逆に、含めるべき手当を除外して過少申告してしまった場合は、後々の労働局による
算定調査などで指摘を受け、追徴金や延滞金を課されるリスクが生じます。

年度更新は、単なる事務作業ではなく「自社の給与体系と労働保険のルールが正しく
一致しているか」を答え合わせする重要な機会なのです。

今年度の年度更新の申告・納付スケジュールは以下の通りです。

2026年6月1日(月)~ 2026年7月10日(金)

労働保険料の「納付」までこの期間内に済ませる必要があります。
賃金の集計など前もって準備できるものはお早めに済ませておきましょう。

年度更新の集計ルールは、例外や細かい通達が多く、企業の数だけ迷うポイントが
存在します。
少しでも判断に迷う項目がございましたら、集計ミスのリスクを避けるためにも、
ぜひ一度お気軽にご相談ください。
貴社の給与体系に合わせた申請代行や、ITツールを用いて自社で行うご相談も可能です。